カウンセリングの基本と理念
― 傾聴と当事者感覚の力 ―
カウンセリングとは、悩みや不安を抱える方が自らの気持ちや思考を整理し、回復のきっかけを見出すための対話的プロセスです。
その根幹にあるのは、カウンセラーによる<傾聴>と<共感>です。

傾聴:話を“聴ききる”姿勢
傾聴とは、ただ相手の話を受け止めることではなく、言葉の奥にある感情・価値観・人生背景に耳を傾ける行為です。
心理学では、ロジャーズの来談者中心療法がこの傾聴の重要性を提唱しました。
彼は「無条件の肯定的関心」「共感的理解」「自己一致(authenticity)」という3要素を重視しました。
私たちが目指すカウンセリングにおいても、この姿勢は基本です。
相談者の言葉に「うなずく」「繰り返す」「沈黙を許容する」などの技法は、
単なる会話ではなく、「あなたの感情をそのまま受け止めています」という非言語的なメッセージでもあります。

共感の振動を高める“当事者感覚”
――カウンセラー評価の核心
カウンセラーの力量は、単に理論やスキルを知っていることでは測れません。
実際の現場において評価されるカウンセラーとは、相談者の感情に『本当の意味で寄り添える』対応です。
その力を支えているのが、「当事者感覚(experiential empathy)」と呼ばれるものです。
「当事者感覚」とは何か?
これは単に『自分も同じような経験をした』という事実のことではなく、過去の苦悩や葛藤を内省し、感情のプロセスとして統合してきた人が持つ、他者の痛みを深層で理解できる感性を指します。
【心理学における共感:Empathy】
・認知的共感(cognitive empathy):相手の状況や気持ちを論理的に理解する力
・情動的共感(emotional empathy):相手の感情と情緒的に共鳴し、内面で感じ取る力
このうち、当事者感覚が最も活性化するのは『情動的共感』の領域であり、カウンセラーの“似た感情体験”と照合しながら、相談者の語る内容に、まるで“自分の過去がよみがえる”ように反応できる力です。
こうした瞬間は、まるで“意味ある偶然=シンクロニシティ”のように、心の奥底で響き合い、相談者とカウンセラーの間に深い共鳴を生み出します。
資格・経験を超える当事者感覚
「この人は自分の気持ちをわかってくれる」
「話していて、なぜか安心できる」
「言葉にしにくいことでも伝わる気がする」
これらの相談者の反応は、スキルでもテクニックでもなく、『非言語的な共鳴』によって醸成されます。
当事者感覚のあるカウンセラーは、初回の面談から相談者の安心感を引き出しやすく、信頼関係(ラポール)構築の速度が明確に違うという報告も多数あります。
専門職との共通点と違い
公認心理師や臨床心理士の立場においても、この「当事者的共感力」は重要な素地とされています。
認知行動療法(CBT)やEMDR、マインドフルネス支援などの理論技法を用いたとしても、その前提にあるべきなのは、クライアントの主観的現実に“心で並走できる”能力です。
弊社が主眼とする「エンパス・カウンセラー」は、この共感力の深さに焦点を当て『資格の有無に関わらず、相談者との理解力で信頼を得る』という現実的な視点に立っています。

カウンセラーと相談者の関係性
資格の有無にかかわらず、信頼されるカウンセラーに共通する資質は、『自分を偽らず、相談者と誠実に向き合う』姿勢です。
カウンセリングは「アドバイスをする場」ではありません。
カウンセラーの仕事は、相談者が自ら気づきを得られるよう、安全で肯定的な対話空間を保ち続けることです。
当事者感覚を持つカウンセラーは、時に自分の体験と照らし合わせて共感しつつも、『私の経験が正解』という押しつけに陥らないよう、慎重で丁寧な姿勢が求められます。

医療・診察行為との違い
弊社が提供するカウンセリングは、ノン・クリニカル(非医療的支援)に位置づけられ、診察や治療行為は一切行いません。
しかしながら、それは単なる「気休め」や「愚痴聞き」で終わるものではありません。
医療や公的支援の[外側]で心を支える存在であると同時に、必要に応じて適切な機関へ橋渡しを行う[内側]へのつなぎ手=ゲートキーパーとしての役割も担っています。

カウンセリング:信頼と安心を媒介にした共鳴
傾聴は、言葉の奥にある感情を丁寧に受け止める技術であり、当事者としての経験は、感情の深い共感を可能にする相談者と対等かつ誠実に向き合うことが、相談者への心の糧になることを、弊社事業においての指針としています。

